透きとおる夢

【七色挿話：朝方】

開店に合わせお店へ
御伽噺の中のような美麗な内装を見回し
知らず、表情が緩む

ヨーゼフさんに小さく手を振りお誘い

聞いた話だと、どれも美味しそうで迷い
パゲットとブレンドティーを選択
棚で見掛けた、童話の挿絵のような緩い小花が金彩で描かれた、真っ白な陶器で注文
白桃のタルトも食べたいけれど、全部は多いから、また今度
バターが珍しくて、最初は面白くてつい塗りすぎるかも

皆を見るファルク君に首を傾げ微笑み

ボリス君の勧めに甘え、タルトを一口貰って
お礼に、僕からも適度にバターを塗ったパゲットを一口分
「はい、あーん」
…夢が叶った瞬間である

差し込む朝の穏やかな日差しと深い香りに、盛夏の疲れも癒される思い