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願望、とは。 何か __

  
 完全勝利で幕を閉じた戦いから数日。
 
 懐かしい夢を度々見ることとなった。
 まだ幼い兄と姉。 厳しい父。 優しい母――……。
 
 夢から醒めて目元を拭った手の甲に、涙が付いた。 どうやら泣いていたらしい。
 隣を向けば、そこにはまだ丸くなってすやすやと眠るオコジョのリズが居る。
 少しで良い、傍に温もりを感じていたくて、首から背の辺りに顔を寄せた。
 
(「リズが居る。 姉さんが、兄さんが居る。 ……父さんも。 知り合いだって居る。 けど……」)
 
 
◆ キャラの変化を綴るSSもどき 。
 
 
綺麗言を口にしながら、心の底では沢山のものを望む自分を無理矢理に見せ付けられたようで、隣に現れた小さな密告者を嫌々しく切り捨てた日を思い出す。
 
 心に空いた穴を埋めようと、他の誰かを求めるか?
 
 多くの友に囲まれて、賑やかな幸せが欲しいか?
 
 濁った瞳に映りこんだ自分の影に、そう問われたような気がした。
 大切な人を失ってしまった。 与えられる愛情を当たり前のように甘んじて享受していた自分への罰と、何も求めないよう己に科した過去のこと。
 血の繋がらない子供を、苦言の一つも言わずに育ててくれた優しい母。
 瞼を閉じれば、未だ鮮明に思い出せる温かな思い出。 同時に、不幸な記憶も思い出す。
 
「育ててくれて、有難う……母さん」
 
 今更遅い言葉を声にした途端に、幾つもの涙が流れた。
 恥ずかしいなどと思わず、生前にたった一言でも感謝の気持ちを伝えていたならば、救えたかも知れない。
 後悔から一歩も進めない自分の人生など、今在る他の幸せを守る為に使えれば本望。 誰にも省みられず、見返りも要らない。 そう、思っていた筈だったのに。
 
(「本当は、少しも自分に嘘を、つけていないんだ」)
 
 辛い、悲しい、寂しいと、知ってしまったところで変わることなど何も無い。
 いつまでも姉に甘えてはいられない。 忙しい兄には負担だろう。 父にはもう、言葉に込めた気持ちは通じない。 打ち明ける相手は居ないのだ。
 考えれば考えるほど、胸が締め付けられ、まるで首を絞められているように息が苦しく感じてしまうだけ。
 そんな、悲しみを助長させるだけのものを求めて、一体何になるというのか。
 
 繰り返す自問自答に、答えは出ない。 ならば隠そう。
 自分すら気付けぬ程に、深い深い意識の底へと。
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IC illust : わさこ絵師様

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